• Japan Academy of Consumer Education

    日本消費者教育学会会長 東 珠実(椙山女学園大学教授)

     

    会長挨拶

    日本消費者教育学会会長 東 珠実(椙山女学園大学教授)

     

    本学会は1981年に創立されました。消費者教育とは、消費者が商品・サービスの選択・購入・消費などを通して消費生活の目標を達成するために必要な知識や態度を習得し、消費者の権利と責任を自覚しながら、個人として、また社会の構成員として自己実現していく能力を開発する教育です。消費者教育は、自己の価値観と批判的思考に基づきながら経済社会における適切な意思決定を通して自分らしい生活を創り出すことに寄与することから、人間形成教育の一翼を担っています。

     

    本学会の会員は、大学・学校関係者、行政関係者、消費者団体等関係者、企業関係者など、消費生活に関わる多様な立場の方々から構成され、その研究活動の成果は、毎年10月に開催される年次大会や、学会誌『消費者教育』において発表されています。また維持会員の皆様との情報交換を行う消費者教育研究交流会や、若者への啓発活動の一環として消費者教育学生セミナーも毎年開催され、消費者教育の理念の普及と現代的課題の追究に努めています。このほか、本学会には北海道・東北支部、関東支部、関西支部、中国・四国支部、九州支部の5つの支部があります。各支部では、研究発表会や勉強会など、地域の特性に応じた活動が積極的に展開されています。

     

    21世紀に入り、消費者教育の在り方は大きく変化しました。2004年に消費者保護基本法が消費者基本法に改正されると、消費者教育は「消費者の権利」の一つに掲げられ、消費者教育への社会的関心が大いに高まりました。2009年には消費者行政、消費者教育の司令塔ともいわれる消費者庁が設置され、2012年には、待望の「消費者教育推進法」が成立・施行されました。推進法の第2条で、消費者教育は「消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育及びこれに準ずる啓発活動」とされ、「消費者が主体的に消費者市民社会に参画することの重要性について理解及び関心を深めるための教育を含む」ところに、今後の消費者教育の特徴と進むべき方向性が明確に示されました。消費者市民社会とは、消費者が自らの行動が社会や環境に及ぼす影響を自覚し、公正で持続可能な社会の形成のために積極的に参画する社会のことをいいます。これを受け、消費者には倫理的(エシカル)消費が、事業者には消費者志向経営が求められることとなり、2016年には、それぞれに関する報告書がまとめられています。一方で、2015年9月に発表された国連の持続可能な開発のための目標SDGsの12番目に「責任ある生産と消費」が掲げられ、いまや持続可能な消費生活を実現することは、世界的な潮流の一つとなっています。

     

    このような社会的な追い風を受け、今後も、本学会では、消費者教育の更なる発展のために会員の総力を尽くして、研究・教育活動に邁進していきたいと思います。ご関心のある皆様には、ぜひ、本HPの案内にしたがってご入会いただき、学会員として、消費者教育への理解を一層深め、教育活動や実践活動の普及・推進に力を発揮していただきたくお願いいたします。