生産・流通の急速にして高度な発展のかげで、消費者は商品・サービスについての情報に立ち遅れていたり,必要な情報が得られなかったり、反対に情報は提供されているのにそれに無関心であったりして、的確な意思決定と自己実現の能力を低下させてきております。
人間としての消費者が置かれているこのような状況に注目するとき、消費者が生活の価値を守り、生活の質を向上させるための自立人間能力を開発する消費者教育の意義と必要性は、教育・行政・産業などの各界、及び国民経済の立場から、それぞれに自覚されるはずであります。
人は誰でも生涯にわたって消費者であります。したがって、消費者教育は人間の発達の段階に応じて、生涯にわたってシステム的に、また家庭・学校・社会・産業等その担い手相互の間の理解と協力と連繋のもとにシステム的に、行われる必要があります。1975年にフォード大統領が『消費者教育を受ける権利」を消費者の第5番目の権利として掲げたのも、そのためであります。
ここに消費者教育の理念・方法・効果等を組織的に研究するために、日本消費者教育学会を設立いたします。消費者教育の対象とその範囲・内容はますます広がりを要求されております。学界・教育会・行政・消費者団体・企業などでそれぞれの立場から消費者教育に関心をお持ちの方々が、広く参加されることを願ってやみません。